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ガイマリラン前夜

超勇者ガイマリラン 前夜
「出会いは奇跡」

登場人物
 天堂忍
 番台由美
 天堂純
 天堂輝子
 その他・・・


本編については追記にて・・・

◆夏休みの結城中学校
 中学3年の番台由美が、友達の南(女子)、北村(男子)と図書室で生徒会の
 仕事をしている。
 この日は高1になった元会長・江末野ケイが手伝いに来ている。
<キーンコーンカーンコーン>
 お昼のチャイムが鳴り響く。
江末野「あ、もう昼か」
由美「(伸びをしながら)おなかすいたぁ…」
江末野「どこか行くか」
南 「(書類の整理をしながら)江末野先輩、そういえばバイトしてるんですよね?」
江末野「ああ。ピュア・キュロットのウェイターだよ」
北村「え?あの、女の子の制服が超かわいいレストラン?」
江末野「ああ」
南 「え?先輩もその制服、着てるの?」
江末野「…って、俺、男だよ…着る訳ないじゃん…」
由美「じゃ、そこにいきましょう?」
江末野「行くか」
 席を立ち、教室を後にする一同。

◆ピュア・キュロット店内
<カラ~ンコロ~ン>
ウェイター「いらっしゃいませ…(客が知りあいらしく)なんだ、ケイか…」
 ウェイターの忍が対応する。
江末野「なんだとはナンだよ?」
忍 「どうしたん?大勢で。あ、北村、南、久しぶり」
南 「お久しぶりです」
北村「お久しぶりです、先輩」
江末野「えと、この子は…」
由美「番台です…。はじめまして…(と、会釈)」
忍 「はじめまして、天堂です。…ああ、なるほど。生徒会の集まりか?」
江末野「そういうこと」
 そこを店長に見られ…。
店長の声「天堂、サボッてんなよ!」
忍 「は~い、店長。(営業スマイルで)じゃ、お席にご案内します。こちらにどうぞ」
 と、忍は江末野達を席に案内する。
◆  ◆  ◆  ◆
 窓際の4人席に座る由美達。
由美「…あの人(忍のこと)…見たことある…。たしか…私らの…
 先輩ですよ…ね?」
江末野「え?ああ。あいつは俺の幼なじみで天堂忍だよ」
北村「たしか天堂先輩って、3年になるまでは、剣道部でしたよね」
江末野「ああ」
南 「あ、そうそう」
北村「割と強かったのに、なんで突然、部活を辞めちゃったんだろう?」
江末野「…ま、あそこも色々あってさ…」
由美「ふ~ん…」
 由美が何気なく忍を見ると、忍と視線が合い、忍が軽く手を振る。
 由美は視線をそらし、頬を染める。
由美(m)「変な人」
 くすっと笑う忍。

◆数日後の番台家
 進路のことで母親と言い合いになる由美。
由美「…どうして、私の気持ちをちゃんと聞いてくれないの?
 …いつもいつも…自分の意見をおしつけるばっかり!
 いいかげんにして!」
母親「由美!」
 母親は、由美の頬をぶってしまう。
母親「(ハッと我にかえり)…」
 由美、頬を押さえ、
由美「お母さんなんて…大嫌い!」
 と言い残し、由美は家を飛び出す。
母親「由美!待ちなさい…由美!」
 母は、はたいてしまった手を、後悔からか、ギュッと握り締める…。
母親「…」
 母親はため息を一つもらす。

◆公園
 由美はベンチでしばし泣く。
由美「(泣き)ぐすっ……」
声 「…あれ?…たしか、番台さん…?」
由美「え?」
 由美がふりむくと、そこには買い物帰りの忍が。
由美「あ、えっと…天堂先輩…こんにちは…」
 涙をぬぐって、暗い表情で挨拶する由美。
忍 「こんちわ…?どうしたの?」
 忍、由美の目が泣いて赤くなっていることに気付く。
由美「…」
 黙っている由美。
忍 「どうしたの?そのほっぺ…」
由美「…母と………喧嘩して…」
 その後、静寂…。
 太陽が容赦無く照りつけ、セミがやかましく鳴いている。
忍 「…」
由美「…」
 忍も由美もすごく汗をかいている。
忍 「…ふう…暑いな…そうだ、なあ、ウチ、来ない?」
 忍が汗をぬぐって言う。
由美「え?」
 いきなりの忍の誘いにキョトンとしてしまう由美。
由美(m)「な・・・なに?いきなり・・・
 あまり知らない女の子を自分の家に呼ぶなんて・・・」
忍 「決まり。行くよ」
 と、由美の手を取り、自分の家に行く。
由美「え?ええ?」
忍 「アイスコーヒー出すから」
由美「え?え?えええ~?」
忍 「さあ、レッツゴー」

◆喫茶パステル
 忍の家は喫茶店である。
由美「…先輩の家って、喫茶店なんですね…」
忍 「まあね」
 忍が由美を連れて店に入る。
純 「いらっしゃいませ!…あ、なんだ、忍か~」
 忍の従姉妹の純(バイト中)が出迎える。
忍 「ただいま…いたんだ」
純 「いちゃわるいの?」
忍 「いや…いてくれた方が今は助かる…かも…」
純 「なに?それ?ん、後ろに…誰かいるの?」
 忍の後ろに由美がいることに気付く純。
純 「………え?」
由美「…は…初めまして…」
 控えめに挨拶する由美。
純 「………」
 店の奥から忍の母・輝子もやってくる。
輝子「あら、忍、お帰りなさい…」
純 「…し、忍が…忍が女を連れてきた~!
輝子「あらあら…」
忍 「女って…」
 1人パニックに陥っている純。
純 「むきーっ!私だって、男いないのにさ…、最近の子は…」
 とかブツブツ言う純。
輝子「はじめまして、忍の母です。忍をよろしくお願いしますね」
 深深と頭を下げる母、輝子。
忍 「な、何言ってんだよ?」
 うろたえる忍。
由美「あ…あの、私、番台由美です。…えっと…よろしくお願いします…
 って何をだろ?あれ?」
 しどろもどろな由美。
輝子「うふふ…」
純 「くぁ~、由美ちゃんだってよ!由美ちゃんなら
 太陽くんとなかよくなってさ…」
 純の1人芝居・スタート。
純(男声で)「かわいいよ、由美ちゃん…」
純(女声)「太陽くん…ありがとう…」
純(男声)「由美ちゃん…」
純(女声)「太陽くん…」
 純の1人芝居は続く…。
◆  ◆  ◆  ◆
 カウンターの1番奥で、忍と由美が話し始める。
輝子「はい、お飲みなさいな」
 と、アイスカフェオレを由美に出す。
由美「あ…ありがとうございます…」
忍 「で、なんで母親とけんかしたの?」
由美「…将来の進路のことで…」
純 「え?ケンカ?進路?」
 純は素に戻り輝子とともに話に加わる。
純 「進路で悩んでるのなら、聞くわよ?」
由美「はい?」
忍 「あ、この人、こう見えても教師の卵なんだ」
純 「一言多い」
 純、忍に頭にゲンコツ。
忍 「あう~」
 頭を押さえる忍。
由美「そうですか…あの…私、…公立の…光栄高校に
 行きたいんです……」
忍 「ウチの高校かぁ」
由美「…でも…母が、私立海洋堂学園・高等部に行けって…」
純 「…」
由美「…母は、私に何も相談せずに…家庭教師も雇うって…」
忍 「家庭教師ィ?」
輝子「あらあら…」
由美「私…母の言うとおりにしたほうがいいのでしょうか…?
 親の反対を押し切って自分の行きたい学校に行くのって、
 わがままですか?」
純 「自分の行きたくない学校に嫌々行っても、後悔するだけよ」
由美「…」
輝子「そうねぇ、お母様のお気持ちもわかるけど…あなたの人生
 なんだから、あなたが行きたい学校があるのなら、
 そこに行くのが1番よ」
純 「(忍に)ところであんた、なんで光栄高校にしたんだっけ?」
忍 「え?俺?(しばし考え)…俺の成績で行ける学校で1番
 近いから…」
由美「そ、そうなんですか…私もなんです…友達も行くし…
 海洋堂だと友達、誰も行かないし…でも、どうして先輩
 は光栄にしたんですか?」
忍 「それは…」
輝子「…忍が中学3年になってすぐの頃、私が倒れてしまって…
 この子、勉強どころじゃなかったから……」
由美(m)「え?それって…」
◆  ◆  ◆  ◆  ◆
北村「割と強かったのになんで突然、部活を辞めちゃったんだろう?」
◆  ◆  ◆  ◆  ◆
忍 「それで、部活も辞めて、この店を手伝って…受験勉強の時間も
 なくなっちゃって、成績も下がってさ、俺は高校に行かなくてもいいかな…
 って思ったんだけどさ…」
由美「それで…?」
純 「私が、高校は出ておけって怒って勉強させたの。
 仕事するったって、中学浪人じゃ、雇ってくれる所、なかなかないもの」
輝子「純ちゃんにも苦労かけたわね」
純 「いいえ」
忍 「あ、でも俺は光栄学校に行ってよかったと思うよ。夢もできたし」
由美「夢…ですか?」
忍 「うん。卒業したら調理師学校に行って、将来、この店を盛り上げたいな」
輝子「頼りにしてるわよ」
由美「・・・」
純「あなたの夢は?」
由美「え?・・・・・・まだ、何も・・・」
純「そっか」
輝子「まあ、今はなくても、これからきっと見つかるわよ」
由美「私…もう1度、母と話し合ってみます」
輝子「そう?」
純 「それがいいわね」
由美「先輩、皆さん、ありがとうございました!それじゃ、失礼します!」
 由美、お辞儀して出ていく。
忍「あ、送っていこうか……って、…行っちゃった…」

◆道路
 なんだか心が軽くなった由美。
由美(m)「いい人たちだな、天堂先輩の家って…」

◆番台家
母親「はあ~」
 ため息混じりに台所で夕飯のしたくをしている由美の母親。
 ガチャっと、玄関の開く音。
由美の声「ただいま」
 由美の声にビクッとする母。
母親(m)「由美…」
 由美が帰宅し、台所にやってくる。
由美「ただいま…お母さん…」
母親「(振り向かずに)…お帰り…」
由美「…お母さん…ごめんね…」
 由美は母の後ろで頭を下げる。
由美「…でも私、やっぱり光栄に行きたい!」
母親「…」
 母親は、ただ黙々と夕飯を作っている。
由美「お母さん…?」
母親「早く、うがいして手を洗って、席につきなさい」
由美「…はい…」
 由美、洗面台に。
◆  ◆  ◆  ◆  ◆
 洗面台にて、手を洗う。
由美(m)「…まだ…怒ってる…?」
◆  ◆  ◆  ◆  ◆
 席につく由美。
母親「はい、今日のおかず」
由美「…え?」
 出されたおかずは、すべて由美の好物。
由美「お母さん…これ…?」
 母親も席につき…。
母親「さっきはごめんね…由美。お母さん、由美に自分の理想を押し付けすぎてた。
 ・・・本当に行きたい所に行くのが1番よね」
由美「…じゃ、じゃあ、光栄高校に…行っても、いいの?」
母親「(頷き)好きになさい」
由美「ありがとう…お母さん」
 由美は母に頭を下げる。
母親「さあ、食べましょう」

◆翌日の喫茶パステル
 忍が家の手伝い(ウェイター)。
 そこに由美が訪れる。
由美「こんにちは、先輩」
忍 「あ、こんちは、番台さん。…どうだった?お母さんは…」
由美「母も、承諾してくれました」
忍 「そうか・・・よかったね!」
 まるで自分のことのように喜ぶ忍に由美の胸がキュンっとなる。
由美(M)「あ…あれ…?」

◆由美の部屋
 机に向かって勉強している由美。
 だが、由美の脳裏には、忍が…。
由美「天堂先輩…」
 忍の事を意識して、胸がどきどきする。
由美「…もしかして…私…先輩の事…」
 ブルブルと、あたまを振る。
由美「まさか・・・この前知り合ったばかりなのに…」
 机の引出しを開けると、中には、光栄高校のパンフレットが…。
由美「…でも…」

◆喫茶パステル
 忍が店先の掃除中。
 そこに由美が訪れる。
忍 「あ、番台さん。こんちは」
由美「こ…こんにちは、先輩」
忍 「今日も暑いね~」
 忍、入り口の当りを掃く。
由美「…あ…あの…先輩?」
忍 「あ、アイスコーヒー、飲む?」
由美「…先輩!」
忍 「ん?なに?」
 由美、少し恥らいながら…。
由美「先輩って…彼女…いるんですか?」
忍 「え?何、いきなり。そんなのいないよ。全然もてないもん」
 忍、首を横に振りながら言う。
 由美、彼女がいないという忍の言葉に希望がわく。
由美「…あ、あの…それじゃ…」
忍 「え?」
 由美、意を決したように。
由美「先輩!光栄学校に入学できたら…私と…付き合って下さい!」
忍 「え?」
 突然の告白に、ほうきを落とす忍。
忍 「番台さん…?」
由美「わ…私、これから受験で…こんな事、考えちゃいけないのは…
 わかっているんですけど…でも…私、先輩のこと、好きです!
 (我に返り動揺)…あ、す、すみません!忘れ…き、きゃあ~!」
 そう言いあわてた由美は足元のバケツをひっくり返してしまう!
忍 「だ、大丈夫?」
由美「う、うわ~、み、水浸し!す、すみませ~ん!きゃ~、モップ、
 モップ、モップで拭かなきゃ!」
忍 「はい、モップ…」
 忍、そんな由美にフッと微笑み、モップを渡しながら、
忍 「ありがとう。待ってるよ!4月になったら、一緒に学校に通おう?」
由美「え?…は…はい!」

◆時間経過のワイプ

◆高校・合格発表
 由美は、掲示板に、自分の番号を発見する。
由美「あ……」
 しかし、信じられず、自分の受験票と掲示板を何度も見比べる。
由美「あった…!」
 由美は余韻に浸った後、携帯で自宅に電話をかける。
由美「あ、お母さん?…合格したよ!」

◆自宅
 通話相手の母親。
母親「おめでとう。…早く帰ってらっしゃい。でも車に気をつけてね」
 と、電話を切る。
母親「じゃあ、お父さんに電話しなくっちゃ!」
 と、電話をかける。

◆喫茶パステル
由美「せ、先輩!」
 喫茶店にかけ込む由美。
 輝子と、手伝いをしている忍、純。
輝子「あら?由美ちゃん」
忍 「…番台さん」
純 「元気?」
由美「こ、こんにちは」
純 「そうか、今日、合格発表ね」
 純は、由美の格好を見て言う。
由美「は…はい」
忍 「で、どうだった?」
純 「ファイナルアンサー?」
由美「ご、合格です…!」
忍 「(満面の笑みで)おめでとう!」
 由美の合格に喜ぶ一同。
忍 「4月から、一緒に通おう」
由美「はい!」
 まぶしい笑顔の由美…。
 画面暗転。

◆ 現在・駅の出入り口
 なかなか来ない忍を待ちくたびれた由美・現在高校1年。
由美(m)「で、光栄高校に合格して、付き合えるようになった…。
 …それから8ヶ月か……それにしても、…まだかな~忍…」
 周囲をみると、右奥から忍(高2)が走ってやってくる。
忍 「ご…ごめ~ん!悪い悪い・・・」
由美「遅いぞ!」
忍 「(息せき切って)わ…悪い、悪い」
由美(m)「…あのとき、かっこいいと思
 った人が、今じゃコレだモンなァ…」
忍 「誠に、申し訳無い」
 と、頭を下げる忍。
由美「もう、しょうがないなぁ」
 と言いながらも笑っている由美。
忍 「じゃ、行こうか」
 笑顔でデートに出かける2人。
由美「忍、大好き!」
忍 「(いきなりで驚く)…え?何、いきなり…」
由美「ねえ、忍は私のこと、どう思ってるの?」
忍 「…そりゃあ…」
由美「そりゃあ?」
忍 「…言わなくても判るだろ?」
由美「ダメ!ちゃんと言って!」
忍 「(すごく照れくさそうに)…俺も…す、好きだよ…」
由美「キャハ!忍、だ~い好き!」
忍 「…はいはい…行くよ」
由美(m)「願わくは、ずっと忍といられますように…」
 人ごみに消える2人…。

《完》